週刊Coelacanth

小川作文講座 http://ogawasakubun.blog.jp/

                        <お知らせ>
                        現在月一回の更新になっております。
                        毎月、中旬頃を予定しています。
                        過去の記事も見ていただければ幸いです。

意識の熟成

 通信技術とSNSの発達によって、発信が容易になり、かつ半無限の対象の可能性を持っている。疑問も、感情も、問い掛けも、答えも、反応も、それらの内の一つの情報は、自身の中を通り過ぎ、そこには多くを残していかない。
 新鮮さは、一つの長所ではある。だからこそ、人々の思考の平均値は、上がっているのかもしれない。ただ、腐敗する機会は減ったのであろうが、熟成される機会も減っているのであろう。ちなみに、そもそも、その対象への自身の思考や意識の腐敗はあるが、その対象自体の腐敗は、半永久的には無いのかもしれない。
 傾向の話であり、システムによる無意識の思考への作用が減少しているということ。そもそも、有意識の思考によってでしか、対象への深い意識の熟成は、行われないのであろう。
 だからこそ、その集合体の中で、本当に必要な対象への思索が精査されていくのかもしれない。情報の集合が一つの個における意識体の様なものであるように。
 そして、答えは、外にもあるのであろうが、それ以上に内にもあるのではあろう。

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