週刊Coelacanth

小川作文講座 http://ogawasakubun.blog.jp/

                        <お知らせ>
                        現在月一回の更新になっております。
                        毎月、中旬頃を予定しています。
                        過去の記事も見ていただければ幸いです。

他者への影響

 相手のことを考えるという行為は、その相手との関係性を良くしたいという意識と同時に、対象を自分の認識の枠に入れて、留めておきたいという意識もあるのではなかろうか。それは、自身の意識において、未知な存在という負荷を抱え続けることへの対応でもあるのであろう。どちらも理解しようとする行為の一側面であり、バランスの問題なのであろう。
 相手の枠を認識し、理解するという行為と、相手を自身の枠に嵌め込み、レッテルを貼るという行為の境界線は、難しく、常に表裏一体であり、両方の特性が、対象の理解には、必要なのであろう。ただ、その認識や期待というものは、対象としている相手にも伝わっていく。それは、発信や自覚の有無に関わらず、その影響力は、生まれているであろうし、無自覚だから、その影響力が弱いとは、限らない。そして、その影響は、対象のその枠に近づこうとする、その側面を作ろうとする意識に作用する。
 悪人であり、善人であり、親であり、子であり、その側面の起因に関しては、鶏と玉子であろうか。あるからそう思ったのか、そう思うからあるのか。

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