マニュアル

　人は、満足という状態を欲しているというよりも、その状態によって得られるものを欲しているのではなかろうか。それらの一つに、安定感があるであろうか。
　その安定感を得たいというよりも、満足していないことで生まれる、不安定な状態が嫌なのであろう。そして、その不安定な状態が嫌と言うよりも、その状態との付き合い方が分からないのではなかろうか。もちろん、比較の話ではある。
　また、その一つの満足の取得に至るまでの過程における苦悩や葛藤という側面への逃避感もあるのであろう。その対象を抱え続けるということの大変さ。そして、それは、その対象の抱え方が分からないという側面も大きいのであろう。その様な構造は、自分の意識の有無に限らず、自身の理解の外にある存在への対応の仕方にも当て嵌まるのではなかろうか。
　より大きな成果を得る為には、その対象を抱える時間は、より長くなければならないのではなかろうか。それは、あまり楽しいことではないし、少なくとも、楽なことではないのであろう。
　だから、その期間の短いものを選び、時に成果を焦るという形に現れるのかもしれない。